『月曜日の友達』2巻(完) 感想
机を16個並べることも。
超能力の特訓の手伝いも。
ふたりだけの秘密ということも。
君はどうでもよかったんだ。
月曜日の約束はもうやめようか。
うおー買ってきましたよ完結編。この日を私は待っていた!
本屋にも結構たくさん入荷されていて人気あるんだなあと感じました。
これを読み終えるとまたしばらく阿部共実の世界を摂取できなくなるので大事に読みたいところです。
1巻で夏休みが終わり、2巻から2学期がスタート。
2学期といえば体育祭、そして文化祭。この学校ではさらに合唱コンクールがあるみたいです。
私の中学には合唱コンクールはなかったなあ。
ド音痴な私にはありがたかった。絶対音感どころか相対音感(と言うんでしょうか?)すらなかったんですよ。
2つの音を聞いてもどっちが高い音かわからないのです。もちろん1オクターブぐらい違えばわかるんですけどね。ドとミとかだとわかりません。
体育祭は春にやってました。騎馬戦で右足の役。私らしい無難ポジション。
隙あらば自分語り。話を戻します。
音痴かつ運動音痴な私がそうであるように、イベント目白押しの2学期は月野にとって特別楽しくないという感じでしょうか。
対照的に茜はもともと運動好きですし歌うのも得意なようです。月曜日の夜だけでなく普段の学校生活でも活き活きとした顔をするようになっています。
少しだけ温度差を感じる月野。
それから、火木さんも1学期とは様子が違います。
不良グループから離れたのか離されたのか1人でいることが多くなり、かわりにだんだん月野に接近してきます。
火木さんみたいな不器用な友達のつくりかたをする子、たしかに中学や小学校にいたなあと懐かしく思い出します。
相手との親密度や相手の望む距離感を測り間違えて一方的になれなれしくして友達になろうとする人、私の小学校にもいました。
そしてそういう人が友達になろうとする相手は、だいたい月野みたいな(そして私みたいな)大人しくて友達のいなさそうな人です。
「この人なら友達になってくれそう!(友達いない人だから!)」という舐めた考えと「この人すら友達になってくれなかったらどうしたら良いんだろう」いう焦りがありありと透けて見えるんですよね。
怒るべきなのか哀れんで友達になるべきなのか、いやそもそも哀れんでる時点で友達という関係じゃないじゃんとか、でも自分だって友達が欲しいんだからwin-winじゃんとか、いろいろ葛藤しますよね……
月野は優しいので火木さんを拒絶しません。むしろ良いところに着目してくれます。
それから勇気を出して火木さんにゲームを返すように言ったようですね。茜との校友で月野は少し成長しましたね。
茜は火木さんにも良いところがあるという月野の態度に納得いきません。
月野のために火木にガツンと言ってやろうとして、月曜日の約束の事をポロリ……
これが月野の逆鱗だったようです。
月曜日の約束を解消してしまった2人、果たしてすれ違いを元に戻せるのか……
というところ。
ネタバレしないように書くとこんな感じでしょうか。
恋愛番組にも勉強にも将来にもたいして興味の無かった茜、自尊心を保つために無意味な超能力練習にのめり込む月野。不良との空虚な交友が破綻した火木さん。
相手のことを考え、自分の足りないものを考え、相手のために何ができるかを考え、3人は着実に大人になっていきます。
もう「月野だけは大人にならないでくれ」なんて言っていた1学期とは全然違いますね。
成長していく3人、その過程でなにを考えていたのかを丁寧に描いたと思います。
もうほんと、私が中学1年生のころなんて夢は何なのかも、友達とは何なのかも、自分とは何なのかも、何にも考えていなかったわけです。
たぶん多くの人がそうでしょう。
でも中学を卒業するころには、確かにそれらに対して未熟でボンヤリながらも答えができていました。
その3年の間に私が何を経験して、何を考えていたのかを少し思い出させてくれる作品でした。
また阿部共実の新作ができるのを楽しみに待ちたいと思います。
そんな感じ。
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