何者にもならない小市民

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『狂気の山脈にて』1~4巻(完) 感想

我々は今世紀最大の発見をした!

南極大陸の奥に漆黒の山脈あり! 

 

 

前々から読みたいと思っていた作品。

地元の本屋になぜか1巻だけ在庫がなかったのでながらく買えなかったのですが、先日遂に1巻が入荷されたので喜んで4巻まとめて買ってきました。

 

 

以前のブログでも書きましたが、最近の私の楽しみの1つはニコニコ動画クトゥルフ神話TRPGの動画を観ることです。

その中でも特にお気に入りは「狂気山脈」をプレイしたこちらの動画。

www.nicovideo.jp

これを観ているうちに、このシナリオの元となった『狂気の山脈にて』をどうしても読みたくなりました。

 

 

原作はクトゥルフ神話をつくったラヴクラフトが1936年に書いた同名の小説。

この時代は南極、北極、エベレストなどの極限の地を目指して各国がしのぎを削った時代です。当時の人たちの未踏の地への期待感、不安感はきっと凄かったことでしょうね。

この作品はその「未知」への抑えきれない期待と不安、そして地球を制覇したと思い込む人類への皮肉を勢いよく描いていると思います。

 

あらすじ

1931年、ミスカトニック大学の探検隊は(他の多くの調査隊と同様に)南極調査に向かった。目下の目的は南極の地層調査。

期待通りにいくつかの成果を得たしもう帰ろっか~というところで、生物学者のレイク教授は奇妙な縞模様の岩石に注目し、「これは未知の生命体の化石だ」と推察する。

そして「他の調査隊に遅れを取らないように、帰らずに調査を継続すべき!」と強硬に主張。なおも帰りたい感を出すリーダーにしびれを切らして数人の部下と飛行機、犬を従えてさらに奥地に行ってしまう。

そして数日後、レイク隊は「驚くべき発見」をしたとの電報を最後に消息をたってしまった……

レイク隊の救助に向かった本隊が目にしたのは、レイク隊と犬の死体、殺人の痕跡、奇妙な塚、そして雪の無い漆黒の山脈と、古代都市の跡だった!

 

 

もう、もうね、あらゆるワクワク要素の欲張りセットですよね。

まず南極にでかい山脈がある時点で極地2つのよくばりセットだし、意味深メッセージと未知の生物の痕跡まであったらそりゃもうワクワクドキドキが止まりません。

人類で初めて全く未知の世界に飛び込んでいく恐怖、興奮、畏怖、感動を臨場感たっぷりの絵柄で楽しむことができる作品です。

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絵の書き込みが細部まで凄い。

(画質が悪すぎて絵の素晴らしさを伝えられないのが残念)

 

古き良き王道の冒険譚でした。

クトゥルフ神話を全く知らなくても全然問題なく読めるのでオススメです。

 

 

1つだけ残念なのは人の見分けがつかないこと。上手いけどみんな顔同じなんですよ。服も同じ防寒具なので髭の有無とかで見分けるしかないですね。

まあレイク教授と「私」さえわかればあとは誰が誰でもいいのでたいした問題ではないです。

山脈や洞窟、壮大な古代都市や異形の生物などの絵は本当に細部まで描き込みが丁寧で奥行きも感じられる素晴らしい絵です。

 

皆さんもこの素晴らしい絵とともにクトゥルフ神話の一端を体感してみるといいと思います。